入社式に関すること: 2008年2月アーカイブ



入社式の時に行う企業と、そうでない企業が分かれるので全ての入社式について言えることではないのですが、入社式には緊張の瞬間があります。それは配属先の発表です。
入社式の翌日から新入社員全員を対象とした研修が始まる、という企業も多いのでこの場合は配属先がまだ決まっていません。決まっていません、というよりはもっと厳密に言うと決まっていてもまだ発表されていません。ですが業種によって、また職種によっては入社式の翌日からそれぞれの配属先で研修を行う場合もありますから、その場合は入社式のセレモニーとあわせて配属先が発表されます。
これは新入社員にとっては緊張の一瞬です。何せ憧れの会社に入社してきたからには、何か憧れの職種があるはずです。また配属先によっては勤務地も変わってきますから、新入社員の運命を左右すると言っても過言ではありません。入社式にはそんなイベントもあるのです。
めでたく希望の配属先になったという人は喜びの瞬間です。但しこの配属先に対して持っているイメージと同じ職場かどうかはまだ分かりません。全く想像もしていなかった困難があるかも知れませんし、または逆に予想外の収穫があるかも知れません。また、企業の中には花形と思われる部署と、そうでない部署とがあります。誰しも花形部署に行きたいのは同じですが、花形の部署に行くにはそれなりの適正や能力が必要となります。会社は新入社員の配属先選定を入社試験の段階から行っています。つまり、採用の段階からどの部署で働いてもらおう、ということがある程度決まっているのです。
その結果が希望通りであったとしても希望通りでなかったとしても、それは大きな問題ではありません。どの新入社員もその会社に憧れて入社したのですから、どの部署に居てもその会社の原動力となって働くことは可能なはずです。
もっとも、最近では労働流動性と言って一度就職した会社に定年退職まで勤め続けるということもそれほど多くなくなりました。憧れの会社に入ったものの「何か違う」と思ったことがあったり、配属先について不満がある場合は、その会社にいつまでも居たところで自分の能力を発揮できないと判断したのであれば、本来の希望職種で活躍することが出来る会社に転職をするのもひとつの選択肢です。但しあくまでも理由は自分の能力をもっと発揮したいということであって、それ以外の理由での安易な転職はあまりお勧めできません。



入社式に持参するものの次は、入社式で会社から手渡されるものについてのお話です。入社式を境に新入社員としてその会社の一員になるのですから、そのために必要なものがいくつか手渡されます。筆者の実体験もあわせてご紹介します。
事務や営業系の仕事に就く場合、仕事柄たくさんの書類と格闘するようになります。その時に自分が目を通したことを示したり、自分が発行した書類であることを示したりするためにハンコをつくことが多くあります。いちいち朱肉をつけて押印していたのでは手間なので、そういう時に便利なのが朱肉のいらないシャチハタ。シャチハタというのはこうした朱肉いらずのハンコを考案した企業の名前です。企業の名前がそのまま物の名前になっている典型例ですが、ここでもそのほうが分かりやすいのでシャチハタと表記しました。通常は普通の大きさのシャチハタが1つですが、よく書類を使う職種の場合は訂正印用に小さいシャチハタも一緒に支給されることがあります。
就業規則を入社式の当日にもらうこともよくあります。これはその会社で働くことに関する規則をまとめたもので、言わばその会社の法律のようなものです。普段あまり意識することはありませんが、会社の休日システムや給与についての大切なことが書かれていますので一度目を通しておいたほうが賢明です。また、これはその会社を退職するまで保管しておいたほうが良いでしょう。
入社辞令書と言って、その人を採用して新しくこの部署に配属する、ということを明記したものです。大きな会社になると人事異動や配置転換の際には辞令書を交付することによって正式に業務命令としていますので、入社したことの証明も辞令書によって行います。特にこの書類自体が効力を持っているわけではないので保管の必要はありませんが、せっかくもらったものなので初心を持ち続けるためにも持っておいたほうが良いと思います。
会社員が着ているスーツの襟に小さなマークのようなものがついてるのをよく見かけますね。これは社章と言って、その会社のマークをあしらったものをつけていることによってその会社の一員であることを示すものです。一流企業になるとこの社章をつけているだけでハクがつくので、憧れてそういった企業に就職した人はこの社章をつけると感慨ひとしおだそうです。社章はその会社を退職した人が持っているわけにはいきませんから、退職時には返還を求められます。



終身雇用が事実上過去のものとなっている現在でも入社式を行う企業が特に減ったというわけではありません。式典好きな国民性ということもあるでしょうが、やはりそれだけ入社式には意味があると考えている企業が多いからでしょう。そうです、入社式というのはその企業の一員になるというだけではなく、その企業に就職するということを通して社会人の仲間入りをするという意味合いもあります。そういう意味では、入社式は学生から社会人になることを強く認識するための節目として良い機会だと思います。
社会人になる、というのは具体的にはどういうことなのでしょうか。会社員になると、毎日会社に行って仕事をする報酬としてお給料がもらえます。単にこれだけのことならアルバイトでも同じですね。アルバイトは時給計算ですが、それが月給になっているだけのことです。ですがアルバイトに入る初日に入社式をする会社なんて聞いたことがないですね。
つまり、会社は正社員として入社する人とアルバイトとを明確に区別しているのです。アルバイトはいくら長い期間在籍していたとしても正社員のような出世をすることはありませんし、会社もアルバイトに対しては特に責任を持ちません。ですが正社員となると話は違います。会社はその人に会社の重要な位置についてもらうことを期待しています。それは入社式を終えたばかりの新入社員に今すぐということではなく、会社がちゃんと研修を行ってそういった資質を持った人に育ててくれます。報酬についてもアルバイトと違って雇用保険がついていますし、年金や健康保険も全て揃っています。会社がここまで新入社員のことを大事にするのですから、新入社員も会社に対して責任を持つことになります。アルバイトのように仕事の指示を待って言われたことだけをするのではなく、正社員は会社の将来を考えて成長させるための努力をする責任があります。まさに会社の屋台骨です。
入社式はその会社が主催するものなのでその会社に入社することだけに考えがいきがちですが、もっと広い意味では社会人になるための節目の儀式だと言えるでしょう。
ちなみに筆者も入社式を体験しました。筆者は大学の3回生までに大半の単位を取得してしまっていたので4回生はあまり授業に出る必要がなく、好き勝手に遊びまわって過ごしていました。そんな気分のまま大学を卒業し、4月1日になって入社式に出席しました。就職先が金融関係だったため、入社式も非常にお堅いものでした。前日まで完全に学生気分だったところにいきなり銀行マンとしての心得を聞かされたため、あまりのギャップに面食らったのを覚えています。これは極端な例だとしても、大学生から社会人になると時に同じような感覚になった人は多いのではないでしょうか。



最近では第二新卒という言葉や労働流動性という言葉が頻繁に見られるようになり、日本に伝統的に続いてきた終身雇用制度が事実上終焉しています。これだけたくさんの人が会社から会社へと渡り歩いていることを考えると、入社式に参加する人の全てが新卒とは限らない状況にあります。これまでは入社式というと大学を卒業したばかりの新卒者を対象としているものでした。
ところが最近では転職者が増えることによって中途採用で会社に入る人が多くなりました。以前は、中途採用は新卒の生え抜きとは区別されて比較的冷遇される傾向にありましたが、今は時代が違います。中途採用の社員のほうが即戦力として能力を発揮することもありますし、新卒の社員のように研修に費用をかけられない会社にとっては中途採用のほうが重要な戦力となっていることも少なくありません。そんな重要な戦力となる人ということで、中途採用の場合でも入社式を行うところが増えてきました。
特にメーカーなどは退職者が多いことから人手不足になりがちです。そのために中途採用を積極的に活用して人材確保に努めています。そうして入社してきた社員は会社としても大切にする必要がありますから、入社式のような式典も必要になってくるわけです。
大手自動車メーカーのトヨタ自動車は企業規模の大きさから考えても意外ではありませんが、毎年膨大な数の中途採用社員を採用しています。主に工場などに配属される社員ですが、その規模がすごい。一度の入社式で250人もの"新入社員"にが一同に会しているものの、それらの人が全て中途採用というのですからすごいですね。さすがはトヨタです。ですがこれは何もトヨタ自動車だけのことではなく、他の大手メーカーなどでは普通に行われていることです。これだけたくさんの社員が採用されるということはそれだけたくさんの社員が辞めたということでもあるんでしょうけどね。
ところで筆者も中途採用で入社式というものを体験したことがあります。現在ではかなりの大手教育産業となった会社ですが、当時はまだまだベンチャー企業という感じで、どんどん人員を増やしている時期でした。そんな時期に応募して採用されたため、一緒に研修を受けた同期入社の人は全てが中途採用でした。前職が設計士の人やイベントコンパニオンなど、なかなかバラエティに富んだ面々が同期でしたが、要するに人を増やす必要があったので誰でも良かったんでしょう。社会人になって5年以上経過してからの入社式は何か小恥ずかしいものがありました。

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