毎年春になると必ずニュースに流れるのが大手企業の入社式映像。特にNTTの入社式は必ずと言っていいほどマスコミが取材しているように思います。それだけ存在感のある企業ですし、新入社員も多いからでしょう。つい最近まで学生だった新入社員が神妙な面持ちで社長の訓示を聞いたりしている光景は毎年ながら自分もこの当時はそうだったことを思い出させてくれます。
さてこの毎年行われる入社式、これはいったい何でしょう?インターネットの用語辞典「はてなダイアリー」によると、「企業が行う新入社員を激励する式典」とあります。これは確かに正解なのですがこれだけだとちょっと意味が足りないかなという気もします。入社式は基本的にその年に新卒入社する人が対象で、それらの人に対して愛社精神を持ってもらったり仕事に対するモチベーションを高めるために行われます。企業によってはその業種にちなんだちょっとユニークな入社式を行ったり、マスコミに取材されることを前提にタレントや有名人などが飛び入り参加するような趣向を凝らしているところもあります。
日本は終身雇用が基本だったという企業風土があり、新卒で入社した社員は定年退職を迎えるまでずっとその会社の一員であるという感覚が普通でした。就職する学生も、入社式とは今後約40年間在籍する会社に入る儀式という意味合いがありました。そのため、このような入社式という文化が生まれたのです。3年しか在籍しない学校でも入学式と卒業式があるのですから、40年在籍する会社には当然これほどの式典があって当然ですね。このような企業風土や文化は日本独特のものなので、実はこの入社式という文化は日本だけのものです。確かに言われてみると欧米の大企業が入社式をやっている映像というのは見たことがないですね。
ところが面白いことに欧米の企業が日本に進出して日本法人となっている場合、この日本法人は入社式を行うところがほとんどです。本国の本社が行っていない入社式を日本法人だけが行うというのも妙な話ですが、たとえ外資系と言っても日本法人の場合は社長も社員も大半が日本人なのですから、郷に入らば郷に従えということなんでしょうか。
大卒の新入社員の場合、実はこの入社式の前にも色々な式典に参加しているはずです。就職の内定が早まる中、4回生になった頃に内定が出ているということも珍しくありません。ですが就職協定という建前があるので、内定は10月1日付けでないと辻褄がありません。そこで最初に内定した時に内々定式、そして10月1日は他の企業の内定式に出席させないために各社同日に内定式が行われます。そして4月1日にようやく入社式となるわけです。こんなことをしているのは日本だけなので、やはり日本人は式典好きなんだなぁと実感します。
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