入社式というとその企業のトップが新入社員の前で語るのが普通です。中には有名な企業であったり有名な経営者ともなると、なかなか趣向も凝っていて面白いものがあります。自分で事業を立ち上げて利益を出している社長というのはやはりそれなりに考え方もしっかりとしたものがあるわけで、それを聞いていると金言と呼べるようなものもあります。
何か話題のIT社長、サイバーエージェントの藤田社長が入社式で必ず話すことはなかなかユニークです。藤田社長は女優の奥菜恵と結婚したことでも有名ですが、本当の姿はインターネットの広告代理店として会社を立ち上げてそれをここまで成長させた手腕に見ることが出来ます。それでは藤田社長による入社式の社長訓示を見てみましょう。
藤田社長は大きく3点を話したのですが、それぞれには追加の説明がついています。それが面白いので、ここでご紹介します。まず1点目は長い社会人生活は最初が大切だと説いています。これ自体は当たり前すぎることなのですが、藤田社長はそこに「ただし、あくまでもマイペースで」と付け加えています。独創的な発想やこれまでの既成概念にはないビジネスを展開している会社なので、マイペースであることが大切だという意味だそうです。次に、2点目は目線を下げてはいけないと話しています。目線を下げるな、というのは下を見て仕事をするなということです。確かに前向きに仕事をする姿勢というのは大切ですから、それほど目新しい話でもありません。ここでも藤田社長は以下のように付け加えています。「目線が下がりそうになったら、役員など上層部の人と食事にでも行くように」。これは非常にユニークですね。IT企業ならではの風通しの良さで、自分のモチベーションを上げるために会社の上層部の人間を使っても一向に構わないし、むしろそれを奨励しています。上下関係にとらわれない自由な社風で、色々な立場の人間が関わることによってまた新しいものを生み出そうとしている姿勢がうかがえます。最後に、21世紀を代表する会社を作っている当事者意識を忘れないで、と語っています。これは確かのその通りですね、これまで無かったビジネスモデルを追及してそこから利益を生み出しているのですから、自分たちが歴史を作っている、というくらいの気概を持って欲しいと藤田社長は願っているわけです。しかし、そこにもちゃんと以下のように付け加えています。「そんな立派な会社を作るにはまだまだ足りないところだらけ。自分たちで創っていこう」。会社を成長させる=21世紀を代表する会社を成長させるという大きな仕事に関わっているという当事者意識を持って欲しいという願いがここにも表れています。